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更年期の食事〜自律神経を整える(2)〜

更年期の食事〜自律神経を整える(2)〜

前回は更年期にみられる症状を軽減するために、自律神経を整えることの重要性などをご紹介しました。その中でも触れましたが、自律神経を整える上でバランスの良い食事や、1日3食規則正しく食べるといった食習慣は非常に大切になってきます。今回は、そのような食事の中でも注目したい栄養素などをご紹介します。

自律神経を鍛える上で注目したい栄養素

【タンパク質】

タンパク質は体の細胞の主成分となるほか、ホルモンや酵素、免疫抗体、神経伝達物質などの材料にもなります。もちろん、自律神経を刺激してその働きを調整するノルアドレナリンという伝達物質もタンパク質(アミノ酸:チロシン)を材料としています。
タンパク質が多く含まれる食材は脂質も同時に含まれることが多いので、更年期に摂りすぎると体重増加や、病気のリスクにもなってしまします。反対に、不足すると自律神経だけでなく体全体の機能低下に繋がります。
過不足なく食べるためには、1食の中で主菜(肉や魚などタンパク質中心のおかず、メイン)を1品にすることや、肉、魚、卵、乳だけでなく食物性の大豆製品、穀類からもバランスよく摂ることが大切です。

【ビタミン群】

アドレナリン合成(ストレス時に心身を守るため大量に消耗されるホルモン)の材料となるビタミンCや、抗酸化作用のあるビタミンEやβカロテンにより、ストレスに負けない体作りをすることが、自律神経の乱れを防ぐことへと繋がります。

また、ビタミンの中でも摂取した様々な栄養素の代謝に関わるビタミンB群は、自律神経を整える上でも重要な栄養素です。
ビタミンB1 …… 摂取した糖質を体内でエネルギーに変える際に必要なビタミンで、不足すると脳や神経に十分なエネルギーが供給されず自律神経の機能も低下してしまいます。
ビタミンB12 …… 神経の機能を保つ作用があります。
ビタミンB6 …… 摂取した脂質やタンパク質の代謝をサポートし、自律神経の伝達物質の合成にも欠かせないビタミンです。


【トリプトファン】

アミノ酸の一種であるトリプトファンは、幸せホルモンと呼ばれる「セロトニン」の材料となり、気持ちをリラックスさてくれる働きがあります。
知らず知らずのうちに気持ちも頭も忙しく働かせてしまう日本人にとって、副交感神経を働かせリラックスすることはとても重要です。日常生活の中で、食事、入浴、睡眠時にはできるだけリラックスし、気持ちや脳を休めることを意識しましょう。
トリプトファンは牛乳やチーズといった乳製品に多く含まれおり、体内では作り出すことができず、食物から取らなければなりません。

【GABA】

GABAは神経伝達物質として、脳に酸素や血流をめぐらせたり、神経をリラックスさせる働きをします。とくに、発芽玄米や発酵食品、野菜の中でもトマトなどに多く含まれており、1日に必要な量が中玉トマト1つで取れるとも言われています。また、GABAの材料となるグルタミン酸(チーズ、昆布、みそ などに多く含まれる)の摂取も有効だと思います。

【ω3系脂肪酸】

青背魚に多く含まれているEPAやDHAと言われるω3系脂肪酸は、体や脳の細胞膜の柔軟性を保ち、神経伝達物質の伝達をスムーズにする働きがあります。
この脂肪酸が不足すると細胞膜が硬く感度が悪くなり、神経伝達物質の伝達が不十分になります。その結果、細胞は必要な物質を合成できなくなり、心身の不調へと繋がります。
また、なたね油やサラダ油、ごま油など私たちの生活でよく使われる油にはω6系脂肪酸という脂肪酸が多く含まれています。このω6系脂肪酸の摂取が多いと、ω3系脂肪酸の効能を打ち消してしまうため普段の食生活での油の摂りすぎにも注意が必要です。

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