しかし、この飽食の時代においてなぜ特に日本においてカルシウム不足が叫ばれ続けているのでしょうか。
それには、人種や年齢、性別だけでなく、日本人を取り巻く環境や食生活スタイルなどが関わってきます。
今回は、それらの要因を詳しく見ていくとともに、私たちに日本人に合ったカルシウムや栄養素の摂取についてお話します。
◎日本の土・水・食物にはカルシウムが少ない?!
日本は火山活動によってできた島国であり、その土壌の成分はヨーロッパや欧米と比較するとカルシウムなどのミネラル成分が少ないです。
これに加えて、日本特有の地形により降った雨水が地層にとどまることなく海や川へ短時間で流れてしまうため、地層のミネラルをあまり含まない「軟水」が、日本では主流の水となっています。
そのような土壌と水で育った穀物や野菜・果物は当然、ヨーロッパや他の地域と比較すると含まれるカルシウムの量は少ないです。しかし、日本はミネラル豊富な海に囲まれており、そこで育つ魚や貝、海藻などを摂取することによって、カルシウムをはじめとするミネラルを補うこともできます。
このため、日本人である私たちは日頃から小魚やエビ、海藻などをしっかり摂取することがカルシウム摂取の面では重要になってきます。
◎日本人の食生活スタイル
欧米人のカルシウム摂取量は約1000mg/日前後と言われており、日本人の約500mg /日前後に比べて高い傾向にあります。
欧米の食事スタイルでは乳製品が多く使われていることもあり、欧米人のカルシウム摂取量の多くは乳・乳製品が占めています。
これに比べて日本では、昔から魚や海藻、野菜、豆などからのカルシウ摂取があったものの、乳製品の摂取は欧米に比べてかなり少ないものでした。
しかし、欧米人よりもカルシウム摂取量が低いからといって、骨粗鬆症や骨折の数が多いかというと、決してそんなことはありません。
むしろ、骨粗鬆症や骨折の発症率は欧米などに比べて低く、これは日本人が様々な食材からカルシウムとともに他の栄養素も摂取できていたことが一因となった結果です。
つまり、野菜や豆、魚、海藻といった食材を多く取り入れてきた、日本の食事スタイルは私たち日本人にとっては理にかなっており、それらを今一度見直し普段の食事の中に意識して取り入れていくことが大切です。
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