というのも、加齢に伴いカルシウムの摂取量や吸収率などが変化するからです。
また、長年の喫煙・飲酒・生活習慣病などによりカルシウム吸収が阻害されたり、排泄が促進されるなどのリスクも増加します。
このため、高齢期においては健康寿命を延ばす点からも、積極的なカルシウムの摂取により骨密度を維持していくことが重要です。
今回は、そんな高齢期におけるカルシウムの重要性とポイントをご紹介します。
<高齢期のカルシウム摂取の重要性>
高齢者の寝たきりの原因ともなる骨折(転倒などによる)を防ぐためには、十分な骨量を保った丈夫な骨の維持が重要であり、これにはカルシウの働きが欠かせません。
しかし、高齢期では、食事量が減少することでカルシウムの摂取量が減る傾向にあります。
これに加えて、加齢に伴い胃酸などの消化酵素の分泌も減少するためカルシウムの吸収も低下します。
このため、高齢期のカルシウム摂取は重要である一方で、その摂取には工夫が必要となってきます。
<高齢期のカルシウム摂取の工夫>
◎少ない食事量でもカルシウム密度の高い食材の選択
食欲が減少し、消化に必要な酵素などの分泌が減少するため、高齢期ではより質の良い食材を選ぶ事も重要になってきます。カルシウムにおいては、小魚や小エビ、大豆製品、乳製品、ごま、海藻などのカルシウム密度の高い食品を普段からしっかりと摂取することが重要です。
◎消化吸収の良い状態での摂取を心がける
カルシウムの消化・吸収を促進する酸(柑橘類、酢、梅干し など)と一緒に摂取することで吸収率も上がります。また、よく噛んで食べる事も食物の胃腸での消化効率を上げるためとても重要です。
◎同時に必要な栄養素の摂取
ビタミンD‥‥カルシウムの吸収を促進し、骨や歯の形成と成長を助ける。
さけ・うなぎ・いわし・しいたけ・きくらげ など
ビタミンK‥‥カルシウムが骨に沈着するのを助ける。
納豆・ブロッコリー・海苔・わかめ など
マグネシウム‥‥カルシウムと一定のバランスを保ちながら骨の健康を保つ。
大豆製品・小豆・海藻類・アーモンド など
高齢期では丈夫な骨の維持のためにもカルシウムだけでなく、これらの栄養素の存在が一段と重要になってきます。
◎加工品に頼らない
簡単に調理できる加工品の利用が多くなる方もいると思いますが、加工品に含まれているリンは過剰に摂取するとカルシウムとの体内バランスが崩れ骨形成を妨げます。
そのため、加工品の多用には注意が必要です。
<飲酒・喫煙によるカルシウムへの影響>
高齢の方の中には長年にわたり、喫煙・飲酒の習慣がある方もおられると思いますが、これらはカルシウムの吸収や排泄にも影響を与えます。
・喫煙‥‥タバコに含まれるニコチンの作用により、胃腸でのカルシウムの吸収や食欲が低下します。また、女性においては女性ホルモンであるエストロゲン(骨から血液中へカルシウムの流出を防ぐ)の分泌が阻害されます。
・飲酒‥‥適量の飲酒(日本酒1合、ビール中瓶1本)であれば問題ありません。しかし、飲酒量が多くなると、アルコールの利尿作用により体内の必要なカルシウムまでもが排泄されてしまうリスクがあります。
特に、高齢期はカルシウムの摂取量・吸収率が低下し、骨量減少からの骨粗鬆症のリスクが高くなるため、飲酒はより控えめにし、禁煙に努めることが重要になってきます。
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