多くの女性が成人期以降で経験するであろう妊娠、出産、育児におけるカルシウム摂取は、自分自身だけでなく赤ちゃんへの必要な栄養を補給するという意味も加わってきます。
そのため、女性はカルシウムの需要量が増える成長期を終えた後も、将来に向けての備えをしていかなくてはなりません。
なぜなら、カルシウは吸収の悪い栄養素である上、今の日本人の食生活ではコツコツと意識して摂取していかなければ不足してしまう栄養素であるからです。
今回は、特にその重要性が増す妊娠・授乳期におけるカルシウムの働きについてご紹介します。
<カルシウム摂取の重要性>
◎妊娠期
妊娠をすると、へその緒を通してお母さんからお腹の中の赤ちゃんに栄養が届けられるようになります。
もしお母さんの栄養状態が悪ければ、胎児に十分な栄養が渡らず発育にも影響しかねません。
カルシウムも同様にお母さんの胎盤を通して胎児に届けられますが、カルシウムは摂取量が多少不足しても、胎児は不足に陥ることはありません。
なぜなら、カルシウムはお母さんの骨に沢山貯められている為、食事から入ってこなければ、骨を壊すことでカルシウムを送ることかできるからです。(それほど、カルシウムは生きていく上で重要な栄養素であるとも言えます。)
つまり、カルシウムの必要量が多くなる妊娠中に食事から十分なカルシウムが摂取できないと、個人差はありますが母体の骨量がどんどん減っていくことになるのです。
また、妊娠中の骨密度が高かったお母さんから生まれた赤ちゃんほど、出生児の体重や身長が大きかったという報告もあります。
一概にカルシウムの量だけで判断はできませんが、妊娠中に骨量が多いお母さんほど、胎児へ沢山のカルシウムが届けられ、発育に良い影響を与えられたことも考えられます。
◎授乳期
妊娠期だけでなく出産後の授乳期においても、お母さんの骨量減少のリスクは大きくなります。
母乳育児の場合、新生児には母乳から栄養と共に多くのカルシウムも供給されます。
母乳時期の体内では骨を形成する活動(骨形成)よりも、骨を壊す活動(骨吸収)が活発になっており、母乳中のカルシウムの一部も骨を破壊することによってまかなわれています。
授乳期では、いくら食物からのカルシウム摂取量を増やしても骨の破壊(骨吸収)は抑制できません。
これら妊娠期・授乳期におけるカルシウムの需要が増えることで、元々の栄養状態や骨量が非常に低いお母さんにおいては、産前産後の長引く腰痛などの一因となる妊娠後骨粗鬆症の発症リスクが高まります。
その為、妊娠・授乳期以前からの栄養状態や骨量が非常に重要になってきます。
◎妊娠前
妊娠・授乳期に必要量が増し、その重要性も高まるカルシウムですが、これらに備え最も重要なことは妊娠前の骨量をいかに増やしておくかということです。
一般的に骨量は、12歳ごろから急激に増えその後20歳前後でピークに達し、それ以降は増加することなく維持もしくは、減少していきます。
そのため妊娠したからといってカルシウムを沢山摂取しても骨量は増えません。
骨量を増やせる時期にしっかりカルシウムを摂取し、その後も骨量を維持するべく十分量のカルシウム摂取を心がけていく必要があります。
また、カルシウムだけでなくマグネシウムなどの必要栄養素の摂取も同時に行っていくことも重要です。
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