私たちの体に存在するカルシウムのうち、約99%が骨や歯などに存在し、残りの約1%が血液・体液や細胞などに分布しています。たった1%かもしれませんが、私たちが生きていくにあたりこの1%のカルシウムが不可欠なのです。言い換えれば、カルシウムが不足すると私たちの体は多少無理をして骨からカルシウムを奪ってでも、この1%のカルシウム濃度を維持しようとします。
では、この体内の1%のカルシウムがどのような重要な働きをするのでしょうか。
筋肉の収縮をスムーズにする
私たちの体には筋肉があり運動の有無に限らず、生きていく上では必要不可欠です。
例えば、指を曲げる、立つ、座る、姿勢を維持するなど普段の私たちの行動はもちろん、内臓の臓器も筋肉でできており、私たちは知らず知らずのうちに筋肉を動かして生きています。筋肉は常に収縮(縮む)と弛緩(伸びる)を繰り返しながら動いているのですが、この収縮の合図となるのが細胞内に存在するCa2+ (カルシウムイオン)なのです。細胞内のCa2+の濃度が上昇することで筋肉の収縮が起こる結果、私たちは体を動かし維持す事ができるのです。
心臓の鼓動を保つ
私たちの命とも呼べる心臓も、心筋と呼ばれる筋肉でできています。筋肉の収縮で説明したように、自分の意思に関わらず動いている筋肉もCa2+(カルシウムイオン)によって動いています。心臓の細胞内でCa2+が増えて濃度が上昇すると、心筋が収縮(縮む)してその結果、心臓全体が縮み、中の血液が押し出されて体中を回ります。
つまり、心臓においては常に弛緩と収縮を繰り返して鼓動を保つことで全身に血液を循環させているため、心筋の収縮の合図となるCa2+の存在が非常に重要になってきます。
血液を固めて出血を防ぐ
血液の中に存在するカルシウムは、出血した際に血を固まらせる材料(凝固因子)としての働きをしています。血が出ると血液中のタンパク質が切断や結合などの反応を繰り返して血液を止める栓を作るのですがこの際に、血液中のCa2+(カルシウムイオン)が必要になってくるのです。
イライラを鎮める?!
ほとんどの場合血液中のCa2+は常に一定に保たれているため、カルシウム不足=イライラと直接的に繋がることはありません。しかし、カルシウムは、脳や細胞において神経同士の伝達物質の役割も担っているため、カルシウムの体内バランスが変化することによって、神経間の伝達物質の質や量にも影響が及び、興奮(イライラ)の促進・抑制などに関わってくると考えられます。