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認知症とカルシウム

認知症は身近な課題です

 認知症は誰でもなりうるものであり決してひとごとではありません。2012年で認知症は国内で約462万人おり、認知症の前段階の経度認知障害(MCI)の約400万人とあわせると、高齢者の約4人に1人が認知症またはその予備軍となります。また2018年には7人に1人が認知症になっています
自身がならなくても家族や周りの身近な人がなる可能性も大いにあります。

加齢とともに認知症の発症率が増加し、また発症すると症状を遅らせることはできても完治することは難しいために、最近では「共生」と「予防」を国は推進しています。これは認知症になるのを予防し、なったとしても社会との共生を目指していくという考えです。今後2025年には65才以上の高齢者が3人に1人の割合になり、それ以降も割合は増えていくと予想されており、高齢化社会にとっては近々の課題なのです。

認知症は決してひとごとではなく、もしなっても周りや社会がなんとかしてくれるだろう、と悠長なことを言ってはいられなくなってくるのです。

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認知症の予防

認知症は加齢(老化)とともに増えていく病気です。認知症の種類は、最も多いのはアルツハイマー型認知症であり、他には脳血管性認知症、レビー小体型認知症など数種類あります。
これらは脳に異常なたんぱく質がたまったり、脳の神経細胞が死ぬことにより発症し、症状として物忘れや記憶障害、徘徊や幻覚、感情のコントロールができなくなってきたりする症状が現れてきます。

では予防としては何をしたらよいのでしょうか?

原因の一つには、生活習慣病(糖尿病や高血圧など)との関連が示唆されています。急に認知症になるのではなく、日頃の生活習慣や食事の偏りなどから生活習慣病になり、ひいてはそれが認知症へとつながっていくというのです。また、日頃の生活習慣(運動や栄養)をよくすることによって認知症の予防となることも分かってきています。

認知症の予防をしよう!というのでなはく、日頃から栄養(特にたんぱく質やカルシウム)をしっかりとることが、結果的には認知症の予防につながるのです。

 

高齢者に不足しがちな栄養素

たんぱく質

ここ最近、体重が減ってきた。食欲がわかず食べる量が少なくなってきた。これらに当てはまる方は要注意です。
高齢になると不足するといわれている1つがたんぱく質です。たんぱく質は筋肉や体を維持するために必要な栄養素ですが、意外に知られていない事として、骨の材料にもなっており、たんぱく質は骨にも欠かせないのです。

食事からのたんぱく質が不足すると、筋肉量が減少したり、肌につやがなくなってきたりします。
また、筋肉量が減って足腰が弱くなり、体を動かすことが次第におっくうになり、活動量が低下してきます。

これらはフレイルにもつながってきます。 →フレイルについてはこちらへ

たんぱく質は、肉や魚、卵・豆類から摂取できます。朝・昼・晩の各食事に、たんぱく源を加えて食事でとるように意識してみましょう。

カルシウム

カルシウムは骨や血液中など体に必要な栄養素です。65才以上でのカルシウム必要量は650mg/日と定められています1)。そして高齢者に推奨される量としては800mg/日が望ましいともいわれています。ところが、必要量でさえこの50年間ずっと足りていないのです。

カルシウムが足りないと、骨がもろくなり骨粗鬆症へのリスクが高まります。骨がもろいと転倒した際に骨折しやすくなります。転倒と認知症の関連についても最近ではいわれています。

カルシウム不足→骨がもろくなる→転倒→骨折→寝たきり→認知症
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カルシウム不足が認知症へつながってしまう悪い循環の発端にもなりかねないのです。
また、介護が必要となる原因の1位は認知症(17.6%)となっています。骨折・転倒は4位に入っています2)

その他の栄養素としてはビタミンDも積極的に摂取したい栄養素の一つですが、ビタミンDは日光浴でも皮膚から生成されるため、1日30分程度の日光浴もあわせて行うとよいでしょう。

 

カルシウムの働き

カルシウムは血液中に一定量のカルシウムイオンが常に存在しています。骨だけではなく、生体内の働きにとても重要でそのために骨に貯蓄しているともいえます。

生体内のカルシウムの機能として神経伝達や細胞内の情報伝達、脳の神経細胞への作用などの働きがあり、それらと認知機能についても関連があるとして研究が進められています。
血液中にカルシウムが足りていないと骨からカルシウムを溶かして補おうとしますが、溶けだす際にリン酸カルシウムとして血液中に入り、また必要以上に溶け出してしまうため、血管や脳に悪影響を及ぼし高血圧や生活習慣病の一因になるともいわれています。

認知症になる原因は様々ですが、日頃から自分でできる予防法としてまずは生活習慣や食事の見直しをし、不足しがちなたんぱく質やカルシウムを意識して摂取してみることから始めてみましょう。

参考文献
※令和元年認知症施策大綱より引用
※参考:令和2年高齢社会白書
1)日本人の食事摂取基準2020年版
2)2019年国民生活基礎調査



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