COLUMN
コラム
また、デリケートゾーン専用の化粧品も販売されています。 そこで本記事では、デリケートゾーンの悩みやフェムケアのやり方について詳しく紹介します。 デリケートゾーンに優しい化粧品でご自身の体をケアしてみてはいかがでしょうか?
フェムケアとは?
フェムケアとはそもそもどのような意味なのでしょうか。 フェムケアがなぜこのように注目されるようになったのかについて解説します。 また、フェムケアと似た意味を持つフェムテックという言葉があります。 それらとの違いに関しても紹介します。フェムケアの意味
フェムケアとは女性の健康問題に関連する言葉で、主にデリケートゾーンをケアする商品やサービスのことを指します。 「feminine(フェミニン)=女性」と「care(ケア)=手入れ」の2つの言葉をかけ合わせて作られた用語です。昨今では女性の社会進出が急速に進んでいますが、課題がまだ残されているのが現状です。 妊娠・出産などの身体と生活の大きな変化から、生理や更年期による体調変化まで、さまざまな問題が仕事の効率や社会進出に大きな影響を及ぼしています。 フェムケアはデリケートゾーンのケアが主ですが、女性が男性と同等に働ける環境整備、または生活の質を上げるといった幅広い意味で用いられています。
フェムケアとフェムテックの違い
フェムケアと似た言葉に、フェムテック(Femtech)があります。 フェムテックは、ケアではなく「Tech(テック)」をかけ合わせて作られた用語です。 フェムテックは、女性の身体や心の問題に技術(テクノロジー)を活用したサービスでアプローチしていくことです。 月経管理アプリ、更年期ケアアプリ、ホルモン検査キットのようなものがあげられます。 テクノロジーを使用するか否かで両者は使い分けられますが、フェムケアもフェムテックも女性の身体や心の悩みにアプローチするという点では同じです。フェムケアの重要性
フェムケアの特徴について前項で紹介しました。 女性にとって年齢関係なく、フェムケアは重要です。 そこで、女性に欠かせないフェムケアの重要性について、深掘りして紹介します。 さらにデリケートゾーンに起こりやすいトラブルと、フェムケアする上で留意したいポイントについても併せて紹介していきます。フェムケアはなぜ重要なのか?
フェムケアを充実させることは、本人にとってはもちろん、社会にとってもメリットにつながります。 女性ホルモンは、女性の心と身体に大きな影響を及ぼします。 生理痛やPMS(月経前症候群)によるイライラだけではありません。デリケートゾーンはライフステージごとに変化し、人によって抱える悩みはさまざまです。 アンケートによれば「生理が原因で仕事の効率が低下する」と答えた女性は約75%でした。
(参照元:日経BP 総合研究所「20~40 代『働く女性1956人の生理の悩みと仕事と生活』調査(速報版)」)
また製薬会社が行った調査では、「更年期の症状が原因で昇進を辞退した・辞退するか悩んだ」と回答した女性は約40%にも上ります。
(※参照元:大塚製薬「働く女性の健康意識調査」-45-59歳女性、管理職登用機会があった正規雇用の会社員・公務員 817名対象アンケート)
さらに、女性特有の月経随伴症状による労働損失は4,911億円という試算もされています。
(参照元:平成31年経済産業省「健康経営における女性の健康の取り組みについて」)
女性の社会進出に伴い、ジェンダー平等問題も大きくなっています。 女性の健康問題をサポートする取り組みとして、フェムケアは社会全体で取り組むべき重要な問題といえるでしょう。
デリケートゾーンで起こるトラブル
では、デリケートゾーンで起こるトラブルにはどのようなものがあるのでしょうか。すっきりしない
「なんだかどことなくすっきりしない」「不快感が常にある」と感じる方も多いのではないでしょうか。 デリケートゾーンは皮膚が薄く、外陰部は手の皮膚の1/40程度の薄さだといわれています。 そのため生活をする上で、汗やおりものなどで蒸れたり、肌と下着の摩擦があったりと、デリケートゾーンが気になりすっきりしないと感じてしまうのです。乾燥している
先述したように、デリケートゾーンは皮膚が非常に薄く乾燥しやすい部位といわれています。 女性ホルモンが減少すると皮膚や粘膜のみずみずしさが減少し、ハリがなくなってしまうのです。 特に膣や外陰部は女性ホルモン「エストロゲン」の影響を強く受けるため、年齢と共に乾燥しやすくなってしまいます。埋没毛
埋没毛とは、皮膚の内側に埋もれ、肌の表面に出ず成長してしまった毛のことです。 埋没毛は、毛穴がふさがってしまうことが原因でできるといわれています。 毛穴が塞がる要因として考えられるのは「乾燥」「傷」「ムダ毛の自己処理」です。 特に、デリケートゾーンやワキなどで埋没毛がみられることが多くなっています。通常、埋没毛は放置しておいても問題はありません。 健康な肌であれば28日の周期でターンオーバーするため、塞がった毛穴が開き、埋没毛は解消されるでしょう。 しかし、埋没毛を無理に取り出そうとすると、埋没毛の周りの皮膚が炎症を起こし毛嚢炎となるおそれがありますので、控えましょう。
フェムケアのNG行為
フェムケアすることにおいてやってはいけないNG行為があります。 NG行為に留意してフェムケアを行うことが大切です。過度に洗う
デリケートゾーンをゴシゴシと過度に洗うことは厳禁です。 刺激が強い石鹸で過度に洗うことで、敏感な肌が傷ついてしまったり、雑菌が繁殖してしまったりというおそれがあります。 正しいデリケートゾーンの洗い方については後述しているので、参考にしてください。似たタイプの下着を毎日つける
形やデザインが同じ下着を毎日つけることは避けましょう。 連日同じ部分にレースや縫い目が当たると同じ部分が擦れてしまい、それが黒ずみの原因になってしまいます。 そのため、日ごとにデザインの異なる下着を着用しましょう。 特に肌の弱い方は、シームレスの物を試したり、コットンやシルクなど素材にこだわったりするのがおすすめです。かゆみがあっても放置
デリケートゾーンのかゆみを放置するのは危険です。 肌のかゆみは起きているときは我慢できても、睡眠中などは無意識のうちにかいてしまうことがあるでしょう。 デリケートゾーンに限らず、皮膚はかいてしまうと炎症性の色素沈着が起こることがあります。 かゆみの対策として、市販のデリケートゾーンのかゆみを抑える軟膏を塗りましょう。 それでも改善しない場合は感染症の可能性もあるので、医師に相談することをおすすめします。においの原因を放置
おりもののにおいがいつもと違うと感じたときは要注意です。 膣は性交だけではなく排便や排尿の際に菌が入ることがあり、においがいつもと違う場合は、細菌性膣炎になってしまっているおそれがあります。 清潔にしていてもおりもののにおいが強い、いつもとにおいが違うと感じたらすぐに医師に相談しましょう。年代別デリケートゾーンの悩み
女性ホルモン「エストロゲン」の分泌量の変化により、女性の身体にはさまざまな変化が起こります。 20代・30代は女性ホルモンのバランスが崩れやすく、40代からは徐々に女性ホルモンが減少していきます。デリケートゾーンも同様に年齢と共に変わり、その年代特有の悩みが出てきます。 そこで、年齢別のデリケートゾーンの悩みについて紹介します。20代・30代のデリケートゾーンの悩み
20代と30代は性成熟期と呼ばれ、女性ホルモンの分泌が多くおりものが多い傾向にあります。 さらに妊娠や出産、PMS、子宮内膜症などを経験する方も多く、ホルモンバランスが乱れやすくなります。 また、30代後半になるとエストロゲンが減少するため、デリケートゾーンが乾燥したり自浄作用が減少したりします。①においやムレが気になる
デリケートゾーンのにおいやムレが気になる方は多いのではないでしょうか。 おりものが多くなり下着の中がムレやすい状態であるうえに、生理・汗・尿などが加わってきます。 そのような要因が積み重なり、さらににおいが気になってしまうでしょう。②黒ずみが気になる
黒ずみの原因の多くは色素沈着で、日常生活上での摩擦が原因といわれています。 また、遺伝・レーザー脱毛・メラニンの沈着が原因となる場合もあるでしょう。③たるみやゆるみが気になる
妊娠や出産を経験することで、皮膚や膣壁を収縮させる筋肉が伸び、たるみやゆるみが生じることがあります。 自分では気付かず、パートナーに指摘されて認識する方も多いでしょう。40代・50代・60代のデリケートゾーンの悩み
30代後半から女性ホルモンが減少し、40代・50代で更年期を迎えるとデリケートゾーンの状態はさらに変化します。①膣のゆるみや尿漏れが気になる
更年期における女性ホルモンの減少によって、膣の粘膜にあるコラーゲンが少なくなったり、筋力が低下したりします。 その結果膣がゆるみ、尿漏れが生じてしまうのです。 特にくしゃみが出た時や、重たい荷物を持ち上げた瞬間に漏れてしまうことが多い傾向にあります。②デリケートゾーンに老化を感じる
加齢にともなって、顔の肌と同じようにデリケートゾーンにしわやたるみが出てきてしまいます。 女性器特有のハリやふくらみがなくなってしまうため、過去の自分と比べて老化を感じてしまうでしょう。フェムケアのやり方とその効果
ここでは、フェムケアのやり方とその効果をわかりやすく解説します。 フェムケアすることで、単にデリケートゾーンの悩みが消えるだけではなく、毎日の生活にハリが出て、明るく美しく過ごせるようになるでしょう。デリケートゾーンの洗浄
まず、デリケートゾーンの洗浄をするうえで、デリケートゾーン専用洗浄剤を使用することです。 このデリケートゾーン専用洗浄剤を選ぶ基準として、成分やpHは重要な要素のため確認すると良いでしょう。 下の項目「フェムケア専用化粧品の多種化」で専用洗浄剤について解説しているので、ぜひ参考にしてください。また、洗い方に関しては擦らず優しく、指の腹でシワをひろげ洗浄剤を含ませ、強いシャワーを直接当てないようにしましょう。 ただし、洗うのは外陰部のみです。 膣内は酸性になっており、さまざまな菌から守ってくれています。必要以上に洗うとかえって菌が繁殖してしまうので注意しましょう。
デリケートゾーンの保湿と黒ずみ軽減
デリケートゾーンを清潔にした後は、顔と同じように保湿をしましょう。 保湿をすることで乾燥を防ぎ若々しい印象にする以外にも、かゆみや黒ずみを軽減できる効果が期待できます。 乾燥は膣の自浄作用の低下につながるため、保湿は欠かさないようにしましょう。 もちろん保湿する際もデリケートゾーン専用のクリームを使用することをおすすめします。 ぜひ下の項目「フェムケア専用化粧品の多種化」を参考にして、専用クリームでケアしていきましょう。VIO脱毛
VIO脱毛は全年代で行う方が増えているフェムケアです。 VIO脱毛はムレやかゆみを軽減し、生理中でもデリケート部分を清潔に保つことができます。 昨今では「介護脱毛」も増えています。 50代になり、自分が将来介護されることを考えて、VIOをハイジニーナ脱毛する方が増えています。 そうすることで介護時の拭き取りの手間の省略、においの軽減といったメリットがあります。食事に気をつける
生理前や生理中の女性特有の身体の不調は、食事に気をつけることで軽減することが可能です。 PMS(月経前症候群)のイライラにはビタミンやミネラルが効果的です。 また、生理による貧血を防ぐために、鉄分とその吸収を助けるビタミンCや血流を促進するビタミンE、女性ホルモンのサポートをするイソフラボンを常に意識して摂取すると良いでしょう。下着や生理用品の選別
フェムケアとして適切な下着や生理用品を選ぶことも大切です。下着の選び方としては
● ムレを防ぐために通気性の良い素材を選ぶ
● 肌が弱くかぶれやすい方はコットンなどの素材を選ぶ
● ムレや尿漏れが気になる方は吸水ショーツを選ぶ
生理用品では、
● ナプキンの素材にこだわってみる
● 月経カップを使う
● 月経ショーツを使う
このように、自分に合った適切な製品を選ぶことで快適に過ごすことができます。
フェムケア専用化粧品の多種化
フェムケア専用化粧品をはじめとしたフェムケア商品を一堂に展示した「フェムテック東京」が2022年に初めて開催されました。 2023年に2回目が開催され、大盛況となっており、市場もさらに拡大しています。 それに伴い、デリケートゾーン専用化粧品も徐々に市場に出回るようになりました。専用ソープ・オイル・クリームなどさまざま
さまざまなデリケートゾーン専用化粧品・医薬部外品のなかで代表的な製品は、専用洗浄剤(ソープ)です。 通常の身体洗浄剤(ボディソープや石鹸)は一部を除いてアルカリ性の製品が一般的です。ところが健康な身体の肌は弱酸性(pH4.5~pH6.0)で、さらにデリケートゾーンの皮膚はph4.8~pH4.5のため、他の部分の皮膚よりも薄いことがわかっています。そのため、アルカリ性の洗浄力が強いソープで体とデリケートゾーンを同時に洗うと、刺激を感じることがあります。 デリケートゾーンを洗うときは、洗浄力が柔らかで刺激の少ない洗浄剤を使用した、弱酸性の専用ソープを使用しましょう。 そのほかに、デリケートゾーン専用オイルやクリーム、ミストも販売されているため選択肢が幅広くあります。
プラセンタ配合の専用アイテムはおすすめ
プラセンタ(=胎盤)から抽出したエキスは美容や医療に使われています。 また、プラセンタには栄養素が豊富に含まれているうえに成長因子も含まれているため、新陳代謝の促進に効果が期待できるのです。 新陳代謝が良くなることで肌のターンオーバーが進むため、デリケートゾーンの黒ずみも効果的に排出されると期待されます。プラセンタは塗っても、飲んでも効果が期待できます。 しかし、デリケートゾーンに塗って使用するときは、最初に腕に塗り肌に合うかどうかパッチテストを行ってから、使用すると良いでしょう。
まとめ
女性には何歳になっても、年齢によって特有のデリケートゾーンの悩みがあります。 社会全体がフェムケアに注目する時代となった今は、さまざまなフェムケア商品が増加傾向にあります。 これらを上手に活用して毎日少しずつケアすれば、デリケートゾーンの悩みが減っていくのではないでしょうか。そして、何歳になっても女性としていきいきとした楽しい毎日を送りましょう。
監修者
監修者プロフィール 菊谷 潤子 大阪市立大学(現:大阪公立大学)を卒業後、化粧品メーカーで処方開発に携わる。その後塾講師や教材筆耕などを経験し、再び化粧品会社で勤務。
トータル28年の化粧品処方開発の経験を活かし、現在は美容Webライターとして活動中。化粧品開発だけでなく塾講師、子育て、人生の経験を活かし、読者の美と健康に役立つ情報をわかりやすく提供します。