COLUMN
コラム
身体的症状に加え、ストレスによって精神的症状も酷くなる可能性があります。
この記事では、更年期症状や更年期のホルモンバランスについて、症状に対処するための療法とリスクを詳しく解説していきます。
更年期症状と向き合いながら、個々に合った生活習慣と治療法を見つけるきっかけとして、ぜひ最後までご覧ください。
更年期症状とは
更年期症状とは頻繁に耳にするものの、どのような事象を指すのか分からない方も多いのではないでしょうか。
この項では、更年期症状が起こる年齢やその原因について詳しく解説していきます。
更年期の定義
更年期は、女性の人生の転換期です。閉経をきっかけに、一般的に45歳から55歳の間に起こるとされる更年期では、卵巣の機能の低下によりエストロゲンとプロゲステロンの分泌が減少します。
エストロゲンとプロゲステロンの分泌が減少することによって、身体的症状だけでなく精神的症状も引き起こす可能性があります。
■更年期症状が起こる年齢の範囲
更年期は、閉経前の5年間と閉経後の5年間を合わせた約10年間のことを指します。一般的に45歳から55歳のあいだに閉経を迎える女性が大半ですが、早い方は40代前半から、遅い方は50代後半からと人によりさまざまです。
■更年期に起こるホルモンの変化
女性は加齢によって、徐々に女性ホルモンのエストロゲン量、黄体ホルモンのプロゲステロン量が低下していきます。特にエストロゲンは、健康維持に重要な役割を果たしており、このエストロゲン量が低下することにより身体にもさまざまな影響を及ぼします。
更年期症状と原因とは
更年期症状の原因とは、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。更年期症状とは?
更年期によって、身体的症状・精神的症状とさまざまな症状があらわれます。これを「更年期症状」と言い、症状は個人差が大きいですが、主に血管運動症状・その他身体的症状・精神的症状の3つに分けられることが多いです。
それぞれどのような症状が起こるか、下記で詳しく解説していきます。
■更年期に起こる身体的症状
更年期症状には上記3つの症状があることがわかりましたが、具体的にはどのような症状が起こるのでしょうか。それぞれの代表的な症状は以下のとおりです。
主な症状 | |
血管運動症状 | ほてり・のぼせ・発汗・冷え |
身体的症状 | 腰痛・関節痛・肩こり・めまい・耳鳴り・頭痛・動悸・息切れ・疲労感・かゆみ・乾燥・湿疹・膣乾燥感 |
精神的症状 | イライラ、不安、情緒不安定、気分の落ち込み |
血液の働きが上手くいかなくなる血管運動症状では、ほてり・のぼせ・発汗・冷えなどの症状があらわれます。
身体的症状は、腰痛・関節痛・肩こり・めまい・耳鳴り・頭痛・動悸・息切れ・疲労感などです。
その他にも、乾燥・かゆみ・湿疹・膣乾燥感といった症状があらわれる方もいます。
■更年期に起こる精神的症状
ホルモンバランスが崩れ、自律神経が乱れやすくなると精神にも支障をきたし、抑うつ的な気分・イライラ・不安感・無気力・不眠・情緒不安定・記憶力の低下・物忘れの頻発などの症状があらわれることがあります。更年期症状の原因とは?
更年期症状の原因は、卵巣機能の低下により体内ホルモンの分泌が減少し、ホルモンバランスが保てなくなることです。それだけでなく、仕事環境や家庭内環境による精神的ストレス、本人の性格も重なることで、症状の度合いも変わるとされています。
精神的ストレスの他に、乱れた食生活をしている場合や運動不足によって生活習慣が整っていない場合にも、更年期症状がひどくなりやすいと言われています。
更年期症状の治療法
さまざまな更年期症状について分かったところで、次は更年期症状の治療法についても気になるのではないでしょうか。この見出しでは、
● 薬物療法の必要性
● 日常生活への影響
● 薬物療法を考えるタイミング
● 更年期障害の主な治療法4つ
これらを解説していきます。
薬物療法の必要性
更年期に入り、上記で解説した身体的・精神的症状がひどく、療法を要する場合を「更年期障害」と言います。更年期障害は医師に相談することで、適切な治療を受けられます。
症状があらわれない・症状が軽い方もいれば、生活に支障をきたすほど重い症状を抱えている方もいます。
■更年期症状と日常生活への影響
更年期症状が重くなると、家事や仕事中も体調が優れない、記憶力の低下、物忘れの頻発など日常生活へ影響を及ぼす恐れがあります。最悪の場合、症状の悪化で外出が困難になり、うつ病を併発する方も少なくありません。
■薬物療法を考えるタイミング
薬物療法を行うタイミングは、人それぞれ異なります。症状が辛い、緩和させたいと感じた場合は速やかに医師に相談しましょう。
病院ではカウンセリング・検査を行い、自身に合った療法を見つけることが可能です。
この見出しでは、気になる更年期障害の治療法を紹介していきますので、ぜひ参考にしてください。
ホルモン補充療法(HRT)
ホルモン補充療法であるHRTとは、体内の不足したエストロゲンを薬で補う療法です。減少したエストロゲンを薬で補いゆらぎを小さくすることで、ほてり・のぼせ・発汗などの代表的な症状に効果があらわれます。
■HRTの基礎的な知識
HRT療法には飲み薬・貼り薬・塗り薬が主に使用されています。特徴 | |
飲み薬 | ・毎日服用する ・腸管から肝臓を通り効果がでる ・エストロゲン剤と黄体ホルモン剤を服用する |
貼り薬 | ・2週間に1度、または2日に1度に貼り変える ・皮膚から吸収され血管に入ることで効果がでる ・エストロゲン剤と黄体ホルモン剤を服用する |
塗り薬 | ・ジェル状の塗り薬を毎日塗る ・皮膚から吸収され血管に入ることで効果がでる |
貼り薬とジェル状の塗り薬は皮膚から薬剤が吸収され、血管に入ることで効果をあらわします。
貼り薬は2週間に1度と、2日に1度に貼り変えるタイプがあり、塗り薬は毎日塗って使用します。
2つとも皮膚から吸収されるため、胃や肝臓に負担がかからず、副作用も少ないことがメリットです。
飲み薬のタイプは、毎日服用することで腸管から吸収され肝臓を通ることで効果をあらわします。
貼り薬を使うと肌がかぶれやすい方には飲み薬の方が良いでしょう。
■HRTの効果とリスク
HRT療法では、代表的なほてり・のぼせ・発汗症状を緩和する効果が期待されます。しかし、貼り薬と塗り薬を使用する場合、血栓症のリスクも高まるため、定期的に血液検査を受ける必要があります。
次に、通常子宮がある方がエストロゲン剤のみ使用すると子宮内膜増殖の恐れがあり、子宮体がんを発症するリスクが高まります。
そこで子宮体がんを防止するために、エストロゲン剤の他に黄体ホルモン剤を同時に使用します。
現在では、エストロゲン剤と黄体ホルモン剤の両方を含む飲み薬や貼り薬もあるため、気になる方は医師に相談してみましょう。
HRT以外の治療選択肢(非ホルモン療法)
HRT療法以外の非ホルモン療法としては、漢方薬療法・抗うつ薬療法・プラセンタ療法が代表的です。HRT療法が受けられない方、身体的症状より精神的症状が強い方など、それぞれの事情や症状に合わせて生活習慣・食生活にも気をつけながら、上記の療法を行っていきます。
■SSRIなどの使用例と効果
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は、ホルモン療法が出来ない方や精神的症状がひどい方に用いられる療法です。副作用も少なく、抗うつ薬であるSSRIを毎日服用する方法で、精神的症状を緩和しながら身体的症状のほてり・発汗にも効果を発揮すると言われています。
ただし、効果があらわれるまでに2週間〜4週間程度かかると言われているため、効果がないからと服用を中止せずに飲み続けることが必要です。
反対に、効果が出て症状が緩和したからといって中断すると、症状がぶり返してしまう可能性が高いため、この場合でも飲み続ける必要があります。
■プラセンタ療法
プラセンタとは胎盤のことで、プラセンタ療法は厚生労働省から認可が降りた療法です。プラセンタ療法は、定期的に注射治療を行うことで更年期障害の緩和が期待できます。
さらに、週に2回から3回のペースでプラセンタ療法を行うことでより高い効果が期待できるため推奨されています。
しかし、効果のあらわれ方は個人差があり、体調や環境にも左右されるため注意が必要です。
そして、献血や輸血予定の方はこの療法を受けることができません。
プラセンタ療法は更年期障害と肝炎の他にも、自己免疫疾患の改善・アレルギー疾患・疲労回復・美容にも効果が認められています。
まとめ
この記事では、更年期症状やその原因、ホルモンバランスについて、更年期症状の治療法について解説いたしました。更年期症状がなぜ起こるのか、それを理解することでホルモン補充療法や非ホルモン療法の理解も深まったのではないでしょうか。
身体的・精神的に関わらず、更年期症状で悩まされている場合は我慢したり独断で判断したりせず、速やかに医師に相談することが必要です。
これらの治療に加えて、適度な運動やバランスのとれた食事、ストレスの発散をすることで更年期症状も緩和し、心身の健康を維持することに役立ちます。