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ヒトプラセンタの効果とは?ヒト幹細胞との違いについても解説

ヒトプラセンタの効果とは?ヒト幹細胞との違いについても解説

多くの栄養素が含まれており、さまざまな効果が期待できるプラセンタを取り入れようと検討している方もいるのではないでしょうか。
また、近年プラセンタと同じ美容効果をもつ成分として「幹細胞」を培養した際に生成される培養液が話題を集めています。

本記事では、ヒトプラセンタの効果やヒト幹細胞との違いについて解説します。 ぜひ本記事を参考にしてみてください。

ヒトプラセンタとは?

はじめに、ヒトプラセンタとはどういったものか、どのような種類があるかについて解説していきます。

ヒトプラセンタについて

プラセンタは胎盤の意味で、ヒト由来の胎盤をヒトプラセンタといいます。

胎盤は、胎児に栄養を送り育てるための器官ですので、栄養分を豊富に含んでいます。 その栄養分に注目し、古くから医療や美容の分野で活用されてきました。

日本では、1950年代から医薬品としてのヒトプラセンタの活用が進み、現在、メルスモンとラエンネックの2種類のプラセンタ注射が厚生労働省に医薬品として認可されています。

・メルスモン
メルスモンは、更年期障害と乳汁分泌不全の治療薬として開発されました。

加水分解法という、プラセンタの細胞膜を強酸で分解してエキスを抽出するという製法をとっているため、有効成分が低分子化されています。 分子とは物質の最小単位をいいますが、低分子化されていることで体への吸収がしやすくなるといわれています。

また、ベンジルアルコールという無痛化剤が含まれているため、注射を打ったときの痛みが少ないのも特徴です。

メルスモンの注射は、更年期障害と診断された45歳~59歳の方と産後1年以内に乳汁分泌不全と診断された方に、保険適用されます。

・ラエンネック
ラエンネックは、肝臓疾患の治療薬として開発されました。

分子分画法という、特殊なフィルターを使って必要な成分のみを抽出する製法をとっているため、有効成分を壊さずに取り出すことができます。
この有効成分には成長因子と呼ばれるタンパク質が含まれており、その美容効果が注目されています。

加えて、同じ分量あたりで比べると、ラエンネックの方がメルスモンよりも10%程多くプラセンタが含まれています。
美容目的にはラエンネックの方が適していると言われているのはこのためです。 注意点は、ラエンネックには痛み止め成分が入っていないため、メルスモンよりも注射の痛みを感じやすいということです。

また、肝機能障害と診断された方は、ラエンネックの注射を保険適用で受けられます。
美容目的の場合は、自由診療であればどちらも受けられますが、いずれも注射を受けられるのは医療機関のみです。

ヒトプラセンタの効果について

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次に、ヒトプラセンタに期待できる効果について、具体的に解説していきます。

肝機能の改善

プラセンタには、肝臓の働きを強化し解毒を促す作用がありますので、肝機能障害の治療に活用されてきました。
その他、自由診療にはなりますが、疲労回復にも効果が期待できます。

肝臓がアルコール分解をする働きがあるのはよく知られていますが、肝臓はアルコール分解の他にも、有害物質を解毒し分解する役割も担っています。
ですので、肝臓機能が衰えると有害物質が体内に蓄積され、疲れやだるさを感じやすくなるのです。
プラセンタの成分が肝臓の働きを助けることで、疲労回復につながります。

また、お酒を飲む前にプラセンタ注射を受けるとアルコール分解を助けるので、二日酔い予防になり、二日酔いのときにも回復を早める効果が期待できます。

シミの改善や美白効果

紫外線を浴びるとメラニン色素がつくられて、日焼けやシミの原因になることはご存知の方も多いでしょう。
プラセンタはこのメラニンの過剰生成を抑える働きをしますので、シミの予防につながります。

また、プラセンタに含まれる成長因子が肌のターンオーバーを促すことで、メラニンの排出もされやすくなります。
そうすると、メラニン色素が抜けて肌の色が明るくなる、できてしまったシミが改善されるなどの効果も期待できるというわけです。

くすみの改善

肌のくすみは、乾燥や血行不良、老化などが原因で起こります。
肌がくすんでいると、不健康な印象や老けた印象を与えてしまいかねません。

プラセンタには血行を促進する作用もありますので、健康的な肌の色を保つのにも効果的です。
また、抗酸化作用により肌の老化を招く活性酸素の過剰発生を抑制するので、くすみの改善にもつながります。

乾燥肌やシワを改善

肌の表面には角質層があり、保湿機能とバリア機能を担っていますが、紫外線やストレス、加齢などで肌が乾燥すると、ターンオーバーも乱れてしまいます。

ターンオーバーの乱れで保湿機能やバリア機能が低下すると、肌の乾燥が進行し、シワの原因にもなります。
そこに、プラセンタの成長因子が、肌の弾力を保つ働きをするコラーゲンとエラスチンの再生を促すと、ターンオーバーが活発になり、肌の乾燥の改善につながるのです。
それに伴い、乾燥によるシワの改善も期待できます。

肌荒れを防ぐ

更年期や月経周期によってホルモンバランスが乱れると、肌荒れするという方も多いのではないでしょうか。
そのようなお悩みにも、プラセンタを活用できます。

プラセンタには抗炎症作用があるため、ニキビや吹き出物の改善や予防効果も期待できるのです。
また、プラセンタにはホルモン調整作用や肌のターンオーバーを促す作用もありますので、総合的に肌荒れ予防につながります。

ヒトプラセンタとヒト幹細胞の違いとは?

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近年、ヒト幹細胞や培養液を利用した化粧品の美容効果にも注目が集まっています。
ここでは、幹細胞培養液とプラセンタとの違いやそれぞれの選択基準についても、解説していきます。

ヒト幹細胞とは?

幹細胞とは、自己複製能と分化能を持ち合わせた細胞です。
簡単に言い換えると、自己と同じ細胞に分裂する力と別の細胞へ分裂する力を持った細胞です。

通常の細胞は、同じ種類の細胞にしか分裂できませんが、幹細胞であれば自らを複製したり、別の細胞になったりすることができるため、損傷した部位の再生を目指せるとして医療分野でも注目を集めています。

動物や植物にも幹細胞がありますが、人間から採取した幹細胞をヒト幹細胞といいます。

ヒトプラセンタとヒト幹細胞培養液の違い

ヒトプラセンタとヒト幹細胞培養液は、製造工程での加熱処理の有無が大きな違いです。

ヒトプラセンタは、ヒト由来の胎盤で、それを利用した注射が医療や美容目的で活用されています。
安全性を保つため、製造過程で加熱処理をされており、そのときの熱によって一部の有効成分が失われてしまいます。

幹細胞培養液は、幹細胞を培養してそこから幹細胞を取り出した上澄み液のことです。
培養液の中には、サイトカインとよばれる成長因子が多く含まれており、細胞に働きかけて細胞分裂を促します。

幹細胞は無菌状態の場所で培養されるため、加熱処理をする必要はなく、熱で有効成分が失われることがありません。
それゆえ、高い美容効果が期待できるとされています。

ヒトプラセンタも幹細胞培養液のどちらも、肌の潤いやハリを保つ効果、シミやシワの改善、ターンオーバーの活性化などの美容効果が期待されています。

また、ヒトプラセンタは医薬品で、医療機関のみの取り扱いです。

一方、ヒト幹細胞培養液は、医薬品として認可されていませんので、クリニックでの自由診療または化粧品としての扱いとなります。

ヒトプラセンタとヒト幹細胞培養液それぞれの選択方法

ヒトプラセンタの注射は医薬品ですので、更年期障害や肝機能障害と診断されれば、保険適用で受けられます。

自由診療であれば、美容目的でも利用できますが、医療機関でしか注射を受けられませんので、効果を得るには週に1、2度の通院が必要になります。
注射の費用は保険適用で1回500円~1,000円程度、自由診療で1,500円~2,500円程度です。
幹細胞培養液は医薬品ではありませんので、美容クリニックで点滴や注射を受けるとかなり高額になります。 1回の点滴で数万円~数十万円、継続すると数十万円~数百万円単位になるといわれています。

通院頻度は、集中して効果を出したい場合には、1週間~2週間の間に1回程度、持続的に通う場合は1か月に1回程度、とプラセンタよりは通院頻度が下げられるようです。

市販の化粧水などのセルフケアであれば費用をおさえられますが、他の化粧品と比べて高額になる傾向にあります。

これらの違いを総合的に判断し、得られる効果や、利用目的、通院頻度、費用などから、ご自分にあった方を選択するのがよいでしょう。

まとめ

今回は、ヒトプラセンタの効果を中心に、今注目を集めているヒト幹細胞培養液との違いも含めて解説しました。
医薬品として認可されているヒトプラセンタの注射は、病気の治療だけでなく、美容面でもさまざまな効果が期待できます。

ヒト幹細胞培養液は製造過程で有効成分が失われにくいのが特徴で、高い美容効果が期待できますが、高額になりやすい傾向にあります。
ご自身が求める効果や目的に沿った選択をするとよいでしょう。
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