更年期には閉経に伴い、女性ホルモンの一種である「エストロゲン」が減少します。エストロゲンは骨や血管を丈夫にしたり、コレステロールを調整する働きがあるため、これまではこの女性ホルモンのおかげで女性は男性に比べ生活習慣病の発生が抑えられていました。しかし、エストロゲンが減少する更年期を境に骨粗鬆症(骨折)や動脈硬化、脂質異常症(心疾患、脳血管疾患)などの生活習慣病のリスクが女性においても高くなります。更年期以降を健康に長生きするための準備期間としても、更年期においての食事や生活習慣を見直すことが大切になってきます。
◎更年期の大きな変化
骨
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エストロゲンは、骨にカルシウムを蓄える働きがあるため、その分泌量が減るこの時期は骨密度減少のリスクも増えます。加えて、多くの日本人は長年カルシウムの摂取量が不足しています。若い時期からのカルシウム摂取はもちろん、更年期においても骨量の減少速度を早めないためにも、この時期のカルシウム摂取は重要です。 |
女性ホルモン
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閉経に伴いエストロゲンの分泌は減少しますが、その不足を補うため、通常は私たちの腸内細菌が大豆イソフラボンから「エクオール」という物質を作り出し、エストロゲンの代わりの機能を果たしてくれます。このため、更年期はとくにカルシウムに加えて大豆製品も積極的に摂取する必要があります。 *エクオールを作り出せる菌を十分に持っている人は日本人の約半数ほどで、この菌を持っていない人はエクオールを補給できるサプリメントを活用してみるのも良いと思います。(エクオールを作り出す菌の保有数の検査キットも市販されています。) |
コレステロール
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エストロゲンは脂質代謝にも関係しています。更年期にエストロゲンの分泌が少なくなると、総コレステロールや中性脂肪、悪玉コレステロールが増加し、反対に善玉コレステロールが減少してしまうため、高脂血症などの病気のリスクが上がります。そのため、食事も多くの脂質を含む肉や油は少し控え、良質の油(DHA、EPA、ココナッツオイル、オリーブオイル)を摂ることを心がけたり、食物繊維を積極的に摂取するなどの工夫が必要となってきます。 |
血管
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エストロゲンには血管をしなやかに保ち、血流を促す働きがあります。そのため、更年期になると血管はしなやかさを失い硬くなる傾向にあり、動脈硬化などの疾患リスクが上がります。加えて、血管の硬さは加齢やホルモンに以外にも、血管を流れる血液の状態や血流によっても悪化します。食事や生活習慣の乱れからくる、高血圧やドロドロ血液ではさらに疾患のリスクが上がってしまいます。高血圧・ドロドロ防ぐために、塩分を控える、甘いものや脂っこいものは適量に、野菜や豆類の積極的摂取、喫煙・飲酒習慣の見直しなどが挙げられます。その一方で、更年期の女性は体質や体型の変化を気にしてダイエットをする人も多いと思いますが、痩せすぎによる栄養失調などにも気をつけてください。 |
食事や生活習慣が整っていても体に変化が起こってくる時期ですので、そのことを知って少しおおらかな気持ちで捉えることや、更年期の症状が気になる場合は専門家に受診を受けることも大切です