数ある栄養素の中でも「カルシウム」は、その働きや多く含まれる食品などが広く知られている、私たちにとって身近な栄養素です。
しかし、そのよく知られているはずの栄養素が私たち日本人には不足しているのです。
今回は、その現状とカルシウムの重要性についてご紹介します。
◎なぜ、日本人はカルシウムが不足しているの?
私たちが健康に生きていく上で重要な「カルシウム」ですが、日本人は長きに渡ってこのカルシウムの摂取基準量を満たしたことがないのです。
<平成30年度 国民健康・栄養調査>
成人男性の推奨量(目標とする量):750~800m ⇨ 平均摂取量:514mg
成人女性の推奨量(目標とする量):650mg ⇨ 平均摂取量:497mg
成人男性の推奨量(目標とする量):750~800m ⇨ 平均摂取量:514mg
成人女性の推奨量(目標とする量):650mg ⇨ 平均摂取量:497mg
飽食の時代でありながら、現在もなぜこのような栄養の不足が起こるのか?!
それは、日本の土壌はもともとカルシウムの含有量が少ないため、飲み水や野菜に含まれるカルシウム量が欧米に比べて少ないのです。
それに加え、近年では魚料理を食べる頻度が減ったことや、食の選択肢が増えた分、自己流の食事制限やダイエット、偏食、また高齢者においてはより柔らかいものさっぱりとしたものを選びがちになったことなどで、摂取カロリーは十分であるのにタンパク質やビタミン、ミネラル(カルシウムを含む)といった特定の栄養素が不足しがちになることがなどが一因となっているのです。
◎性別・年齢によるカルシウム必要量の重要性
健康に生きていくために必要なカルシウムですが、その必要量や重要性は性別や年齢によっても違います。
女性においては、妊娠、出産、育児、更年期といったライフイベントによってカルシウムの吸収率にも変化があるため、男性よりも意識してカルシウムを摂取する必要があります。
しかしながら、20代の女性におけるカルシウム摂取量は384mgと年代別にみても特に低く、将来の健康のためにも改善が必要です。
また、大人よりもこれから発育する子供においての方が、カルシウム不足による影響を大きく受け、大人になってからも深刻な問題を抱え続ける可能性もあるため、出生〜成長期にかけてのカルシウム摂取は非常に重要です。
◎骨折とカルシウム
体内のカルシウムのうち約99%は骨と歯に存在しています。
そのため、カルシウム不足は骨や歯に大きな影響を与えます。
一般的に骨量は加齢に伴って減少しますが、偏った食事や、極端なダイエット、食生活の乱れなどからカルシウムなどの栄養素が不足し、若くして骨量が減少すると年齢に関わらず骨折のリスクが大きくなります。
骨折したらまた治せばいいと思うかもしれませんが、骨折が治癒する過程においても十分なカルシウムがなければ治りも遅く、その後骨折などを繰り返すことにもなりかねません。
また、歯においてもカルシウムはその成分となっているため、特に生まれてから永久歯が生え揃う12~15歳までの子供においては重要です。
永久歯は乳歯の下で乳幼児期に徐々に出来上がるため、この時期のカルシウムが担う役割は大きいです。
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