カルシウム摂取と聞いて、真っ先に思い浮かぶ食品は「牛乳」ではないでしょうか。
もちろん牛乳などの乳製品はカルシウムの含有量が高いのも事実です。でも、本当にそれだけでいいのでしょうか。
なかには成長期のお子さまに「牛乳を大量に飲ませているからだいじょうぶ」と安心しきっているお母さまもいらっしゃいます。
実は牛乳だけで安心してしまうのは危険です。
カルシウムの牛乳神話のような誤った認識をされている方のために、ここでは正しいカルシウム摂取について詳しく解説いたします!
カルシウムとは
カルシウムはからだの機能の維持や調節に欠かせないミネラルのひとつで、骨や歯に必要な栄養素の代表とも言われています。
それもそのはず、カルシウムは99%が骨や歯などの材料になり、残りの1%は筋肉の収縮や神経を安定させるなど、生命維持にも大切な働きがあります。
カルシウムは体内ですばらしい活躍をしてくれますが、体内の吸収率は他の食材とのバランスが大きく影響します。
カルシウムが不足するとどうなるの?
骨や歯の材料だけではなく、生命活動の中心的役割を果たすカルシウム。
不足してしまうと、実はけっこう厄介なのです。カルシウムが不足すると、からだは骨からカルシウムを溶かし出し、血管に入って細胞に運ばれます。
細胞内にカルシウムが必要以上に流れ込むためバランスが崩れ、ホルモンなどの分泌障害が起きたり、筋肉の動きに影響が出たりします。
やがて骨粗しょう症や動脈硬化、高血圧にアルツハイマーをも引き起こす要因になるとも言われています。
成長期は特に注意!
カルシウムが不足すると骨からカルシウムが溶け出してしまうので、骨がもろくなってしまいます。
また、骨のカルシウム量(硬さ)である「骨密度」が増えるのは思春期頃までと言われていますので、成長期のお子さまは特に注意が必要です。
お子さまがいるご家庭では、小さいうちからカルシウムが不足しないように注意したいところです。
お子さまは足りている?実は日本人に足りていないカルシウム!
現代の日本人に不足しがちだと言われているカルシウム。
平成30年の国民健康・栄養調査によると、どの年代もカルシウムの摂取量は足りていません。
その中でも、身長が伸び、体重が増える成長期には大人以上のカルシウムが必要と言われていて、男児で1000mg/日、女児で800mg/日のカルシウムを摂取するよう推奨されています(下図参照)。
ところが、上図のように実際には女児が154mg、男児は302mgも足りていないというショッキングな調査結果が出ています。
この時期のカルシウム蓄積量は年齢とともに増加するため、不足のない摂取が必要なのですが、人生の中で一番大事なこの時期に、実際はカルシウムを十分にとれていないのが実状なのです。
カルシウムが多く含まれている食品
農林水産省がホームページで公開している上の表のように、カルシウムは牛乳、チーズ、ヨーグルトなどの乳製品や骨ごと食べられる小魚、豆腐や納豆などの大豆製品、野菜類や海藻などに多く含まれます。
そのなかでも、牛乳や乳製品は、他の食品に比べて含有量が多い上に1回の摂取量も多いので、カルシウムを摂りやすい食品とされています。
それでは、牛乳や乳製品をたくさん摂っていればだいじょうぶなのでしょうか。答えはNOです。その理由を次に説明いたします。
現代人はなぜカルシウムが不足してしまうの?
食材が豊富な現代の日本。十分な栄養を摂取しているように思えるのに、なぜカルシウムが不足してしまうのでしょう。
実は牛乳などの乳製品を摂取しているだけでは不十分で、実際は栄養のバランスがとても大事になります。
カルシウムの利用効率を高めるには、イワシ、サンマ、サケなどの魚類や、キクラゲ、シイタケなどのきのこ類など、「ビタミンD」の摂取も併せて必要になります。
また反対に、肉類やインスタント食品、スナック菓子やジャンクフードなど食品添加物が多いものにはリンが多く含まれます。
リンはカルシウムの吸収を阻害してしまうので摂り過ぎないよう十分な注意が必要です。
ある意味、食材が豊富で、魚より肉を好むようになった現代人だからこそ、カルシウムが不足してしまうという、なんとも皮肉なお話ですね。
実は難しい、食品や一般のサプリ(結合型カルシウム)からのカルシウム摂取
食物や一般的なサプリなどのカルシウムは、胃の中で胃酸状態によって変化してしまうためバラツキが大きくなり、また加齢や体調不良、胃薬の服用などの胃酸の分泌の低下などにより吸収率が変動してしまいます。
したがって、「牛乳などの乳製品を摂取しているからだいじょうぶ」、「サプリを服用しているから安心」ではないのです。ましてや昔あった牛乳神話のようなものなど今はもうありません。
特に成長期のお子さまや骨粗しょう症が気になる年代は、カルシウムの正しい知識を知って積極的に摂取することがとても大切なのです。いつまでも家族みなが元気で過ごすために、ぜひ効果的にカルシウムを摂取するよう心がけてくださいね。